「中村天風とレジリエンス」

「もっともっと人生を楽しまないともったいないですよ。生き方ひとつで楽園になるんだから。」

きょうあるモーニングセミナー(講話会)で「中村天風」の話を聞きました。
自分が「天風会会友」であることをしばらく意識しなかったことを恥じました。
そしていま「レジリエントカフェ」に呼んで話を聞きたいのはまさにこの人だと気づきました。(もちろん不可能ですが)

「中村天風とレジリエンス」。
今更ですが、こんなにしっくりくる組合せはないと思います。

中村天風師に関して書くと長くなりますので、興味のある方はぜひ著作を読んでください。
ご存じない方のために簡単な人物像を紹介しておきます。

中村 天風(なかむら てんぷう、1876年-1968年)は日本の思想家、実業家、諜報員。
日本初のヨーガ行者で、天風会を創始し心身統一法を広めた。
本名は中村(なかむらさぶろう)。

東京の王子に生まれるが幼少の時福岡市の親戚の家に預けられ、修猷館中学(現在の修猷館高校)に入学。すべて英語で授業を行っていたため語学に堪能になる。柔道部でもエースとして活躍。しかし、練習試合に惨敗した他校生に闇討ちされ、その復讐を行う過程で相手を刺殺。正当防衛は認められたものの退学になる。
16歳の時に陸軍の軍事探偵となり、満州で活動。日露戦争時の1904年、コサック兵にとらわれ、銃殺刑に処せられる寸前に部下によって救出される。113名いた軍事探偵のうち日露戦争から生還したわずか9名のうちの一人であった。
日露戦争後、30歳にして奔馬性結核を発病。33歳の時、病気のために弱くなった心を強くする方法を求め、米国へ密航。米コロンビア大学で、自らの病の原因を尋ねて自律神経系の研究を行ったとされる。その後、英国に渡り、そしてフランスでは大女優サラ・ベルナールの家に居候。各界の著名人に会う機会を得るが、いずれも納得の行く答えを得ることができなかった。
1911年、帰国の途上、カイロにてインドのヨーガの聖人カリアッパ師に出会う。そのまま弟子入りし、ヒマラヤ第三の高峰、カンチェンジュンガのふもとで2年半修行を行う。
1913年の帰国途上には、中国で孫文の第2次辛亥革命に中華民国最高顧問として協力。帰国後は、東京実業貯蔵銀行頭取などを歴任、実業界で活躍する。
1919年、突然、一切の社会的身分、財産を処分し、統一哲医学会を創設。街頭にて教えを説き始める。政財界の実力者が数多く入会するようになり、会は発展。1940年に天風会に改称する。
東郷平八郎、宇野千代、ロックフェラー三世、双葉山、稲盛和夫、広岡達朗ら、多くの著名人が中村天風に師事した。
1968年92歳で没。
(Wikipediaより抜粋)

中村天風師の波瀾万丈の人生はまさに「レジリエントライフ」そのものです。
また師が残した数々の名言も「レジリエンス」に通じるものばかりです。

「自分の心が不幸と感じたから不幸になる。不幸と感じなかったら不幸にならない。」

「病になっている者は、病が治りたいという気持ちよりも、もうすでに病が治った気持ちになりなさい。」

「人生あまり難しく考えなさんな。
暗かったら窓を開けろ、光が差してくる。」

「たとえ事業がうまく行かない時でも、間違いがあったのを天が教えてくれていると考えなさい。」

「お前の頭の中に、何が描かれているか当ててみようか?
それはお前が失敗して、しょんぼりしている哀れな姿だろう。
そんな絵は消してしまいな!おまえが、堂々と相手を説得して「大成功」 というシーンを描くのだよ、
そうすれば仕事もきっとうまくいく。
健康や運命というものは、それを消極的に考えない人々にのみ恵与されるよう、宇宙心理ができている。」

「運命よりも心の力が勝てば、運命は心の支配下になる。」

「本当は心の力によって、いかようにも人生は好転させられる。運命は自分の力で切り拓ける。」

「私は力だ。力の結晶だ。何ものにも打ち克つ力の結晶だ。
だから何ものにも負けないのだ。病にも運命にも、否あらゆるすべてのものに打ち克つ力だ。
そうだ!!強い強い力の結晶だ。」

「敵は愛すべきもんだぜ。敵があってはじめて自分の価値が定まるんだから。」

「すべての消極的な出来事は、我々の心の状態が積極的になると、もう人間に敵対する力はなくなっている。」

「明日に死を迎えるとしても、今日から幸福になって遅くないのです。」

 

 

一方の「レジリエンス」。
「レジリエンスの定義」は厳密にはまだ定まっていないようですが、いくつかの考え方(概念)は発表されています。

・レジリエンスとは、逆境や困難、強いストレスに直面した時に適応する精神力と心理プロセス(全米心理学協会)

・レジリエンスとは、状況への対応の仕方を自らコントロールできる能力であり、困難や逆境から立ち直る力である。
(イーストロンドン大学イローナ・ボニウェル博士)

・レジリエンスとは、ストレスフルな出来事や状況の中でも潰れることなく適応し、
また精神的な傷つきから立ち直ることのできる個人の力。(東京家政大学平野真理講師)

・レジリエンスとは、逆境や困難が新しい自分を創ると信じる力であり、
逆境や困難があったからこそ今の自分があると感謝できる心の強さである。(堀沢 紳)

中村天風師の語録は、こうした「レジリエンスの概念」に照らし合わせてもとてもしっくりくる名言ばかりです。

また「レジリエンス」を構成する7つの心理的要因(強み)からみると、
中村天風師は「レジリエンスの塊」ではないかと思えてきます。

1楽観性:将来に対して不安を持たず、肯定的な期待をもって行動できる力
2統御力:ネガティブな感情や生理的な体調に振り回されずにコントロールできる力
3社交性:見知らぬ他者に対する不安や恐怖が少なく、他者とのかかわりを好み、コミュニケーションをとれる力
4行動力:目標や意欲を忍耐力によって努力して実行できる力
5問題解決志向:状況を改善するために、問題を積極的に解決しようとする意志を持ち、解決方法を学ぼうとする力
6自己理解:自分の考えや、自分自身について理解・把握し、自分の特性に合った目標設定や行動ができる力
7他者心理の理解:他者の心理を認知的に理解、もしくは受容する力

(東京家政大学平野真理「二次元レジリエンス要因尺度」より)

きょうのモーニングセミナーは、
この「中村天風とレジリエンス」をさらに深めてみたいと思わせていただいた大変有意義なひと時でした。
(ほり)

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