「災害医療スペシャリスト」の仕事。

先日霞が関ナレッジスクエアの「エキスパート・スタジオ」で「災害医療スペシャリスト」の石井美恵子さんのお話を聞くことができました。

「災害医療」とは地震や台風などの災害被害が「地域の医療体制の能力を上回る場合の緊急的医療体制」のことだそうです。

石井さんはこれまで、スマトラ大地震、フィリピン台風、四川大地震など世界中の「災害医療」に従事され、
東日本大震災、熊本地震でも医療チームの指揮をとられてきました。
「災害医療」で最も重要な仕事は、増大するニーズ(患者数)と限られた資源(サポート体制)の最適なマッチング。
それと「助かる命に最善を尽くすためのシステムづくり」とのことでした。
また現場で必要なスキルは「情動に突き動かされない」で実務を確実にこなす精神力と、
「判断を修正する力」とおっしゃっていたのが印象に残りました。
「泣こうと思えばすぐに泣ける」状況で、冷静に対処する精神力は相当なものだと思います。
それは常に「メタ認知」(第三者視点)を意識するというご本人の信条によるものかも知れません。
日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012」に輝いたのもうなずけます。
「レジリエンス」の視点で言うと、もちろんご本人も相当レジリエントであることは間違いありませんが、
恐らくは被災者の「レジリエンス」と日々接しているのではないかと思い質問をしたところ、
これまで特に「レジリエンス」を強く意識したことはなかったそうですが、
「世界的に見れば発展途上国の方がレジリエンスは高いのではないか」という印象だそうです。
「レジリエンス研究」はもともと慢性的な貧困や両親に問題があるなどの
ハイリスクな子供たちの克服プロセスを追うフィールドワークから始まっているので通じるところがあると思います。
もし今後この「災害医療」というフィールドでも「レジリエンス研究」が進められたら、
もしかすると新しいアプローチが生れるのかもしれないと漠然と考えを巡らせた一夜でした。
石井さんの具体的な活動はNPO災害人道医療支援会「HuMA」のサイトをご覧ください。http://www.huma.or.jp/
(ほり)

関連記事

  1. 人生は敗者復活戦

  2. 「通訳案内士のオーマイガー!日記」

  3. 「還暦からの底力」を信じて①

  4. シャークボーイの話

  5. 「中村天風とレジリエンス」

  6. 「カーネル・サンダースのスーパーレジリエント人生」

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。