人はストレスフルなライフイベントを経験したり、日常的にストレスにさらされる状況におかれたりすると、
多かれ少なかれ精神的にダメージを受けます。人は家庭の中でも、オフィスの中でも、
様々なストレスフルな出来事によって心が傷つく経験をしながら日々を生きているといえます。
しかし多くの場合、そのダメージをずっと抱えたまま一生を過ごしてゆくわけではありません。
はじめは立ち上がれないほどの大きな衝撃を受けても、少しずつその心の傷を癒し回復させることができます。
この人間の持つ精神的な回復力を表す概念が「レジリエンス」です。
かつて日本のメディアは、東日本大震災から徐々に立ち直る被災者の方々の精神力を
「レジリエンス」と呼びました。「レジリエンス」には様々な定義がありますが、
基本的にはストレスフルな状況にうまく対応し、精神的なダメージから立ち直ることのできる
個人の力を指す場合が多いようです。
また近年では「心理的資本」の一つとしてポジティブな行動を起こすための
「心のエンジン」とも呼ばれます。
レジリエンスとは、ストレスフルな出来事や状況の中でも潰れることなく適応し、また精神的な傷つきから立ち直ることのできる個人の力。(東京家政大学平野真理講師)
レジリエンスとは、状況への対応の仕方を自らコントロールできる能力であり、困難や逆境から立ち直る力である。(イーストロンドン大学イローナ・ボニウェル博士)
「心のレジリエンス」
心の強さとレジリエンス
ステンレスのコップとガラスのコップ。どちらが強いかと言えば、もちろんステンレスですね。
この二つを心に当てはめると、「傷つかない心」と「折れやすい心」になります。
でももう一つ、プラスチックのコップ、あるいはペットボトルを思い浮かべてください。
手でクシャっとつぶすのは簡単です。でも水を入れればまた元に戻れます。
これが「レジリエンス」です。「レジリエンス」は傷ついたあとの回復力や適応力なのです。
ストレスとレジリエンス
「レジリエンス」は「外部から与えられる、あるいは内的に生じる何らかの圧力に対して、
致命的な衝撃を受けずに、回復または適応できる力」(プラスチックのコップ)と考えられます。
ではその圧力(ストレス)とは何か。
圧力(ストレス)の種類
①外部から与えられる圧力:災害体験、死別、失業など。
②環境との間に生じる圧力:失敗体験や、対人関係のトラブルなど。「うまくいかない」こと。
③抱え続ける圧力:持って生まれたハンディキャップや貧困などの逆境環境。
「レジリエンス」はこうした逆境やストレスによってもたらされる圧力の中で、
精神的病理を示さず心理的な回復ないし適応を示す力と言えます。
レジリエンス要因とは?
様々なレジリエンス研究を通じて、「リスクのある状況に置かれても適応できる人」の「特徴」として
「レジリエンス要因」が見いだされてきました。
例えば「個人要因」「獲得される要因」「提供される要因」に分けられますが、
活用できる「レジリエンス要因」は個人によって異なると考えられています。
レジリエンス尺度とは?
個人が「レジリエンス要因」をどの程度有しているかを質問紙尺度で測ることで、
レジリエンスの個人差を測定しようとする研究です。
当協会ではお茶の水女子大平野真理准教授の「二次元レジリエンス要因尺度(BRS)」を参考に
「レジリエンスバランスチェック」を公開しています。
7つのレジリエンス要因(強み):「楽観性」「統御力」「社交性」「行動力」「問題解決思考」「自己理解」「他者心理の理解」
レジリエンスの多様性
当協会では「レジリエンス」を直線的な「回復力」としては捉えていません。
ひとりひとり異なる「ストレス」がある中で、ひとりひとリ異なる「レジリエンス」の発揮の仕方があるからです。ダメージからなかなか急には回復できない人でも、とにかく前を向いて歩いていけるなら
それはその人の「レジリエンス」は機能しています。
こうした「レジリエンスの多様性」にも注目しながら、
「ひとりひとりのレジリエンス」を育てていくことが重要です。
参考:「心のレジリエンス」お茶の水女子大学大学平野真理准教授